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どん底の人びと―ロンドン1902 (岩波文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 53605 位
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| 参考価格: | ¥ 1,680 (消費税込)
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大英帝国の影にメスを入れた秀作
アメリカの小説家ジャック・ロンドンが1902年の夏にロンドンの最下層の生活の中に
入って書き上げたルポです。
世界で最も裕福な大英帝国の中心地ロンドンというのは、当時だれひとり否定する
ことがなかったことで、その暗部に迫り、現実のロンドンの貧困を、鋭い洞察力を持って
書き上げたジャック自身も、あまりにも酷い貧民街イースト・エンドの状況に驚いている
ことが理解できた。自らイースト・エンドの生活レベルに合わせ、貧民者に成り切って
の正にフィールド・ワークは、今日のあらゆる研究の原点ともいえるだろう。
当時のロンドンの様子が手に取るように理解できる点は、社会学、経済学的にも価値が
ある内容で、また、カナダのイヌイット族と英国人の比較などはジャックだからできた
ことかもしれない。
将来のアメリカを含めた、文明の発展に警笛を鳴らしたジャックは、現在でも十分に
通じるものがあり、その後の社会主義思想者へ影響を与えたことは言うまでもない。
隣人の悲惨に目を覆う者は世界に対する裏切り者だ!
ボーア戦争を取材する予定だったが急にキャンセルされてしまった為、ロンドンがロンドンの(駄洒落ではない)イースト・エンドに潜り込んで約七週間最下層貧民の暮らし振りを体験して書き下ろした迫真のルポ。統計資料等に頼って書いている部分もあるが、エドワード国王の戴冠式に賑わう世界の大都市の繁栄の陰にはびこる目を覆うばかりの貧困の実態と、それを生み出し剰え助長する社会制度についての告発が怒りを込めて生き生きと描かれている。
内容はいちいち紹介しているとキリがないので、以下に目次を記しておく。訳文については一長一短だが、この岩波文庫版は各章冒頭に掲げられている詩文もきちんと訳出しているし、数点収録されている写真の印刷状態も鮮明で良好、幾つかある邦訳の中でもお薦め出来るものとなっている。
序文/奈落で暮らし出す/ジョニー・アプライト/私の下宿のことなど/どん底とある男/瀬戸際の人びと/フライパン横町と地獄/ヴィクトリア十字勲章受章者/荷馬車屋と大工/浮浪者収容所/「旗をかつぐ」/給食所/戴冠式の日/波止場人夫ダン・カレン/ホップとホップ摘み人夫/水夫の母/「財産」対「人間」/非能率/賃金/ゲットー/喫茶店と安宿/不安定な生活/自殺/子供/夜の光景/飢えの嘆き/飲酒と禁酒と節約/管理運営
因みに、元々"People of the Abyss"と云う言葉を考え出したのはH.G.ウェルズ。ウェルズもロンドンも文明改革の熱情に燃えて社会主義的な小説を幾つもものしたが、ウェルズが教育や合理性、人間の知的な可能性に重点を置いたのに対して、ロンドンは独特な弱肉強食的世界観で味付けをしており、仲々に迫力がある。興味を持たれた方は他の小説等にも当たってみることをお勧めする。
岩波書店
U・ボート ディレクターズ・カット [DVD] 白い牙 (新潮文庫 (ロ-3-1)) 荒野の呼び声 (岩波文庫) ジャック・ロンドン放浪記 (地球人ライブラリー (014)) オリバー・ツイスト [DVD]
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